夢、ゆめのあと。

 夢の中で、私は何故か幽霊になっていました。
 どうやら交通事故で死んでしまったらしいのです。
 らしいというのが、よく覚えていないから。
 何かふわふわと浮いてるし、死んだんだろうなぁ、と漠然と考える感じでした。

 部屋のちゃぶ台で、祖母と母が向かい合って、お菓子を食べていました。
 いーな、おいしそう。私も食べたいなぁ、と2人の頭上をぐるぐるまわって喚きました。

 すると母が。

「もう食べちゃったから、あんたにあげる分はないよ」
 
 と言いました。
 ひどーい! 何で残してくれないのさ!? 
 死んだからって差別するなよ、なんて憤っていると。

「おばあちゃんのあげるから」
 
 と、おばあちゃんが自分のお菓子を差し出してくれました。
 洋菓子のような和菓子のような、よくわからないものでしたが、とっても嬉しくてすぐに頬張りました。

「うん、おいしい!」
 
 おばあちゃんはニコニコ笑っています。
 私も何だか幸せでした。
 っていうか言葉通じるみたいだし、お菓子も食べられておいしいし、幽霊って案外悪くないんじゃない!?

 呑気にそんなことを考えいました。


 
 そして、ふっと目を覚ましました。
 瞬間、気づいたことは。

 亡くなったのは自分じゃなくて、祖母の方だったということ。
 といってももう何年も前のことだし、死因も事故ではなかったのだけど。


 おいおい、お盆にはまだ早いぜ!? と思いました。
 けどよくよく考えてみると、確か地獄の釜は8月1日には開くんだったはず。
 
 ……会いにこいってことなのかなぁ。

 別に夢と怪奇現象を結びつける気はないのですが。そもそも、母親はまだ生きてますし。

 ただ、私がお菓子を食べるのを嬉しそうに見ていた、祖母の笑顔が忘れられません。


 でも、ごめんね。お盆に帰省は無理だし、そもそもお墓の場所がわからないんだ。
 一度連れてってもらっただけだからなぁ。
 母方の祖母のお墓は確か、とっても遠くて入り組んでところにあった気がする。(車で迷いつつ行ってました)
 
 せめて実家の仏壇に……いずれ、手を合わせにいきますので。
 もらった分のお菓子もお供えしないとね……。