「抜けない女」を観に行ってきました。

 長江隆美監督の一般作、「抜けない女」を観に行ってきました。
 正直言ってAVは観たことがないので、長江監督の今までの作品も、当然のごとく知らなかったわけなのですが(すみません)……。

 例によって団鬼六賞受賞作家、花房観音さんからお声をかけていただきました。26日は花房さんと長江監督のトークもあるとのことでしたので、ぜひにと顔を出させていただいたのです。


 この作品は、思っていた以上におもしろい作品でした。
 ところどころにブラックユーモアが散りばめられていて、場内からも笑いが。
 まず、設定がいいですね。そんなところにそんなものが入って抜けなくなっちゃうって……一体どうするの? みたいな。

 下着泥棒の刑事さんとか、女装趣味の裁判官とか、登場人物も個性的で、会話のやりとりもテンポがよくておもしろい。
 最後の辺りは気分爽快です。男性には少し、つらいかもしれませんけど……。

 長江監督のAV作品もドラマ仕立てなのだそうです。ただ睦み合うのではなくて、そこに至る経緯を大切にされているのだとか。そういうのって、AV業界では珍しいらしいですね。

 おそらく経緯にこだわるのって女性が多いと思うのです。そういう意味では、女性にも受け入れられるものを元々、撮ってらっしゃったのかもしれません。


 というのも、今回の作品は女性の心理を描いていらっしゃって、それがまた女性の共感と呼んでいたもので。(監督自身は、女性に怒られるかも、なんておっしゃっていましたけど)

 女性の賞味期限について……正直今まで、そんなに考えたことがなかったのですが、だからこそ怖いなぁと思いました。
 花房さんからは「まだわかんないかもね」と言われてしまいましたが……今まで危機感がなかっただけで、まぁ段々と目をそらせないところまで来ているわけで。
 中々、身につまされるものが……。

 でも多分、三十過ぎて結婚してはる女性が一番、共感できる作品なのではないかと思います。
 もちろん、男性や若い女性でも楽しめる作品です。観にいけて、本当によかったです。
 
 
 その後は、花房さんに監督、それからお客さんの数名と共に飲み会に参加させていただきました。
 その席でもまた、濃いお話が沢山聴かせていただけまして、大変勉強になりました。

 AV業界も官能小説も、とても制約が多くて大変なのですね……。
 同席された伯爵(ニックネーム)と美少年の恋のお話もまた、深かった……。
 

 ちなみに私、どうも女のくせに女性に幻想を抱いているらしいです。

「『欲求不満の人妻』なんて、男性の妄想の産物だと思ってました」

 飲み会の場でそんなことを口にしてしまいますと、

「それは違う。男は二十くらいがピークだけど、女はね、どこまでもあがっていけるのよ」

 真剣な眼差しで、そう諭されました。
 もちろん、相手は女性です。

 ……どこまでもあがっていけるんだ……。
 
 それは知りませんでした。目から鱗とはこのことです。
 
 自分も一応女なのに、どうにも女レベルが低かったようです。友人からもよく「男らしい」と評されます。
 監督は男の方なのに(最初、名前を見たときは女性かと思っていましたが)女性の心をしっかり把握しているのです。
 さすがはプロ。作品を描くにはとても重要なことですよね。私も精進致します……。


 長江隆美監督の次回作、楽しみにしています。
 

http://www.nonborder.jp/info.html

 ↑は「抜けない女」の公式サイトです。
 大阪では残念ながら公開終了してますが、興味をお持ちになった方はぜひぜひチェックしてみてください。